リップルとは
リップルは2018年3月時点で約2.6兆円の時価総額を誇り、ビットコイン、イーサリアムに次ぐ時価総額3位につけるメジャーな仮想通貨です。イーサリアムを抜いて時価総額第2位になった事もあります。
リップラーと呼ばれる熱烈な支持者を抱える仮想通貨としても知られます。
リップルと言うのはリップル·プロジェクトと言うプロジェクトの名前でもあります。
そのプロジェクトの中で使われる仮想通貨が同じ名称のリップル(XRP)と言う事になります。
リップル(XRP)はそもそも仮想通貨では無いと言う意見も有るのですが一般には有力な仮想通貨として認識されています。
既に多くの巨大企業がリップルうのプロジェクトに参加している事や、国際的な金融システム(特に送金システム)に組み入れられると言う期待が有り、仮想通貨・仲介物としてのリップル(XRP)についても早い段階から注目され、既に多くの取引所で取引されています。
リップルが生んだビリオネア
リップルは2004年にライアン・フガー(RayanFugger)氏によって開発がスタートします。
その後開発の指揮権を譲り受けた共同創業者のクリス·ラーセン氏が2012年9月に前身となるOpencon. Inc社を設立。2013年9月にRipple Lab inc社、2015年10月にRipple Inc社と社名を変更しています。
CEOを務めたクリス·ラーセン氏は約52億XRPのリップル(XRP)とリップル社の株式の17%を保有していると見られています。
ラーセン氏の2018年1月1日時点の総資産額は推定373億ドル(約4.2兆円)と国家予算みたいな規模になっています。
現CEOのブラッド·ガーリングハウス氏もリップル株の6.3%を保有していて総資産額は推定95億ドル(約1.1兆円)、共同創業者のジェド・マッカベル氏(Jed McCaleb・2013年退職)も約50億XRPを保有しています。
3人はリップルによって瞬く間にビリオネアへの階段を駆け上がっていきました。
リップルプロジェクト
リップル·プロジェクトは米国Ripple Inc社が展開している国際送金に関するあらゆる問題を解決しようと言う壮大なプロジェクトです。
リップル社は2012年に米サンフランシスコで創業された新しい企業ですがプロジェクトには既に欧米各国や日本を代表する有力銀行が続々と参加もしくは参加を表明しています。
リップル·プロジェクトでは分散型台帳管理技術(DLT)を使って、各銀行などの中央管理サーバーを介さず銀行間と銀行が直接ネットワークで繋がって情報を共有する事で、送金を即時に行う事が可能な仕組みを構築しています。
(但し実質的にはリップル社が中央管理的にデータ管理に関する権限を持っています)
簡単に言ってしまうと、リップル・プロジェクトは今までの送金より圧倒的に早くて安くて正確な送金システムを実現しようとしています。
SWIFTによる国際送金
国際送金ではSWIFTと言うフォーマットが世界中で使われています。
SWIFTが国際送金システムを事実上牛耳っているなどとも言われています。
SWIFTは国際銀行間通信協会(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)の略で、世界200以上の国や地域で使用されている金融フォーマットを提供しています。
各銀行に割り振られたコード(SWIFTコード)を使って共通の手順で送金をする事によって送金ミスを防ぐと共に海外送金を最短で1~3日で完了させる事ができます。
現状では銀行の海外送金の殆どはSWIFTによって実行されています。
国際送金の手順
SWIFTを利用した国際送金について日本から米国へ送金する例を使って説明します。
国際送金の手順は以下の様になります。
まず日本の銀行で米国への送金を依頼します。
次に送金額を支払います。この時米国に100ドル送りたいのであれば、100ドル相当の日本円と、円をドルに換える為の為替手数料を支払います。加えて送金手数料が掛かります。
自前で海外送金機能を持たない銀行から送金する場合は更に海外送金を仲介する銀行(コルレス銀行)への手数料が発生します。
送金を受け付けると日本の銀行は自行のSWIFTコードと送り先のSWIFTコードを調べて送金処理を行ないます。
決済されると送金金額と諸費用が引き落とされて送金が完了します。
国際送金の課題
SWIFTのフォーマットの普及によって、それ以前と比べると国際送金時のミスやエラーは大幅に減り、送金日数も短くなりました。
それでも人や物が激しく行き来し、ネットを介して情報が瞬時に飛び交う現在の国際状況下では国際送金に対していくつかの問題が顕在化してきています。
国際送金の主な問題は
●高額な手数料
●送金時間の長さ
●お金と記録の消失リスク
の3点に集約されます。
この3つの問題全てを劇的に改善しようと言う野心的な取り組みこそがリップルプロジェクトなのです。
仲介物としてのリップル
リップルプロジェクトでは問題を解決する為に、あらゆる通貨に交換可能な仲介物としてリップル(XRP)を発行し、運用します。
リップル(XRP)を仲介させる事によって今迄数日単位で掛かっていた送金時間を数秒単位へと劇的に短縮する事が可能になります。
加えて送金の途中で人が介在する部分を全て自動化されたプログラムに置き換える事でヒューマンエラーを排除し、送金ミスを無くすと共に、途中の操作やチェックの為に掛かる費用を減らし送金コストを大幅に下げる事に成功しました。
更にリップル(XRP)には仲介した全ての取引のログが残る為、送金記録の紛失によるミスを減らし、仮にミスがあっても追跡できるシステムになっています。
銀行の支持を集めるリップル
リップルプロジェクトでは、こうした国際送金の仕組みによって、送金コストが従来の方式に比べて約60%削減されると試算しています。
プロジェクトには2016年から大手の有力銀行が続々と参加するようになり、既に参加を表明している銀行は100行を超えています。
日本のメガバンクも3行が既に参加しています。
既に75行がてリップルによる国際送金を開始しており、 27カ国の間でリップルのシステムを使った送金が可能になっている模様です。
(但しこれはリップルのシステムを使っていると言う意味で,仮想通貨リップル(XRP)を使っている銀行が75行あると言う話ではありません)
日本でも国内60行以上が参加する内外為替一元化コンソーシアムというプロジェクトが進行していて、リップルのシステムを利用して海外送金や国内送金を行おうと既に韓国の銀行との送金実証実験などを実施しています。
リップルの信用性
この様にリップルの仕組みは既に各国で導入され始めており、新時代の送金システムとして定着する日も近いと見られています。
リップルによって、これまで国際送金に掛かっていた人件費が大幅に削減され、自動化により、ヒューマンエラーが無くなり送金記録も追跡できます。
更にはネットのデータ送信の速さを送金のスピードに反映させる事ができます。
リップルの仕組みによって今後の国際送金は格段に進化すると思います。
またそれに伴って仮想通貨リップル(XRP)の信用も強固なものになると期待されます。
国際送金システムを支える仲介物としての役割がリップル(XRP)の信用を担保する訳です。
リップルの目指すその先
銀行間の国際送金システムをリップルが大きく変革しようとしている事は御理解頂けたと思います。
但しリップルが考えている事はこれだけには留まりません。
銀行間の国際送金はもちろん大きな変化ではありますが、一般の人にとっては正直それほど変化を実感できるものでは無いかも知れません。
実際、これだけでは多くのリップル支持者(リップラー)に強く支持される様なプロジェクトや仮想通貨にはなり得なかったと思います。
l o vとは
リップル社の掲げる目標はI o V (Internet of Value)の実現です。
直訳すると価値のインターネット≒全ての人に価値を届けられる仕組みを事を目指している会社と言う事が言えます。
銀行間の送金問題の解決とは別に、リップル社が具体的に目指しているもの。
その1つが銀行口座を持たない人への送金です。
世界の半分は銀行口座を持っていない
現在全世界の人口の内半数以上の人は銀行口座を持っていないと言う現実があります。
銀行間の国際送金システムをどれだけ整備させたとしても、そうした人達に直接お金を届ける事はできないのです。
一方で携帯電話(スマートフォンを含む)の普及率は2017年には台数ベースでは人口比で103%と世界の人口を上回っています。
少なくとも銀行口座よりは遥かに多くの人々に普及しているインフラであると言えます。
リップルでは例えば携帯電話にメールでお金を送金できる仕組みを作ろうとしています。
ローカルでは既に似た様な仕組み有る地域もありますが、これを世界的な規模で整備できれば、社会に大きな影響を与える事になります。
大きく変わる寄付行為
もっとも分かりやすく変わるものの1つが寄付行為です。
例えば途上国に役に立ちたい、寄付をしたいと思う人は沢山いると思います。
ですが直接応援したいと思う施設や団体に送金しようと思っても、それが国外であればまず国際送金の手間と相当に高額な手数料が掛かります。
それを負担するとしても、今度は受け入れ側の口座番号が分からなかったり、そもそも口座が無かったりと言った壁にぶち当たります。
その為支援団体や支援機関を通じて寄付を行なったりするのですが、どうしても中間コストが発生してしまいますし、寄付がどう言う形で使われて行くかも補足できません。
支援団体を語る詐欺集団に寄付をそのまま横取りされていしまう事もあります。
もし携帯メールなどで簡単に、圧倒的な低コストで世界中に送金できる仕組みがあれば、こうした障壁が取り払われ自分が応援したいと思う団体やあるいは個人にでも容易に寄付をする事が可能になります。
100円しか寄付できないのだけど、と言った思いも形にして小額の寄付も届ける事ができます。
出稼ぎ組にも大きなメリットが
海外に出稼ぎに出ている人の送金も大きく変わります。
途上国などから出稼ぎに来ている人達の多くが母国の家族などに送金をしていますが、送金コストが高かったり、母国の金融制度が整備されていなかったり、銀行口座を持っていないなどの理由で闇金融やブローカー的な人達に依頼して送金しているケースも少なくありません。
そこでは割高な手数料や、大切なお金が送金されないと言ったリスクを常に抱えています。
こうした問題もリップルの仕組みが劇的に改善させる可能性が有り、期待されています。
リップルは仮想通貨ではない?
リップル・プロジェクトの話が膨らんでしまいましたが、話を仮想通貨のリップル(XRP)に戻します。
リップル(XRP)は技術的には一般的なブロックチェーンとは違う技術を使っています。
分散型台帳による管理技術では有るのですが、かなり中央集権的な管理を志向しており、リップル独自の技術を使っています。
リップル(XRP)ではマイクロソフト社など社会的信用の高い会社などがリップル社から承認者(Validator)に指名され、承認者がマイニングに代わる作業を担っています。
この為、リップル(XRP)にはマイニングと言う作業はありません。
こうした技術的な違いからリップルは仮想通貨とは言えないのではないかと言う意見も出ています。
リップル社が管理している(管理者がいる)事から区分としては仮想通貨では無くトークンであるとして、リップル(XRP)をリップル社の発行するトークンとして記述・紹介しているものもあります。
リップルの発行枚数
リップル(XRP)の発行枚数は1,000億XRPです。リップル(XRP)にはマイニングの仕組みは無くこれ以上発行される事はありません。
そして1,000億XRPの内リップル社が630億XRPを保有しています。
リップル(XRP)は総発行枚数が多く、しかもその大半をリップル社が保有している為、ユーザー側にはリップル社が大量に を売却すると価格が暴落してしまうと言う懸念が有りました。
これに対してリップル社では保有する大部分のリップル(XRP)を売買できない様に一時凍結する「ロックアップ」を実施すると予告し、2017年12月7日に自社保有の660億XRPの内90%に当る550億XRPのロックアップが完了した事を公表しました。
リプル社がロックアップした550億XRPについては、2018年以降毎月10億XRPずつロックアップが解除されて市場に供給する事ができます。
月末までに放出されなかったリップル(XRP)は、再度55か月間ロックアップされる事になります。
このロックアップによって大量放出によるリップル(XRP)の暴落懸念はほぼ払拭される形となりました
リップルは消滅する?
リップルの仕組みでは国際総金などでリップルのシステムを利用すると小額ですがリップル(XRP)が手数料として消費されていきます。
消費されたリップル(XRP)は回復せず、消滅する事になります。
総発行枚数は1,000億XRPと決まっているので、日々枚数が減っていると言う事も言える訳です。
但しリップル(XRP)全体に対する比率としては微小な量です。
まとめ
この様にリップル(XRP)は非常に明確で具体的な役割を持って開発されている仮想通貨(トークン)であり、大きな注目を集めています。
リップルのプロジェクトが成功すれば社会に与えるインパクトは大きく、システムとしての価値が仮想通貨としてのリップル(XRP)の信用も担保する事になります。
投資(投機)商品としてもリップルが大きな可能性を持つ対象で有る事は間違いありません。
但し、リップル(XRP)を購入できる国内の取引所・販売所は余り多くありません。
2018年4月現在では大手交換業者のビットフライヤーやZaifでの取扱いは有りません。
とは言え有力なアルトコインの1つで有る事は疑い様がなく、逆に両大手の取引所・販売所に上場される事になると大きく値を上げる事も容易に予想できます。
国内の大手ではGMOコインやSBIバーチャルカレンシーが有力な選択肢になってくると思います。
海外ではビットトレードやバイナンスなどの大手取引所もリップル(XRP)を取り扱っています。
リップル(XRP)に興味の有る方はアカウントを作っておいて状況を伺うと言うのはいかがでしょうか。
是非、リップル(XRP)とリップルのプロジェクトに注目して行って欲しいと思います。
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