証拠金とレバレッジ

FX
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FXが危ないと言われる原因‼

(※2023.07.31.改訂)
FX(外国為替証拠金取引)を行なう時に、まず最初に理解しておくべき大切な仕組みがレバレッジ取引と呼ばれる取引の仕組みです。
FXが一般の人達から「危険」とか「怖い」という印象を持たれる最大の理由がこのレバレッジ取引にあります。
但し一度この仕組み(証拠金とレバレッジ取引)を理解してしまえば、FXは自分でリスクをコントロールでき、しかも効率の良い取引を行なえる投資である事がわかります。
FXに興味のある方は、まずは証拠金とレバレッジ取引をしっかり押えておきましょう。

レバレッジとは⁉

レバレッジ(Leverrage)とは、小さな力で大きなモノを動かす方法として知られる「テコの原理」のテコ(梃子)を意味する言葉です。
レバレッジ取引とはテコの原理と同様に、小さな金額(証拠金)で大きな金額の取引をすることができる仕組みとなります。
国内の殆どのFX会社では、取引を行なう金額の4%に相当する日本円を必要最低証拠金額として設定しています。
逆に言うと、証拠金として入れた金額の最大で25倍の金額での取引ができるという事になります。
証拠金に対してその何倍もの金額で取引を行なう事をレバレッジを掛けると言います。
証拠金額の25倍の金額であればレバレッジ25倍の取引と言う事になります。
日本では法律の制約もあって個人のFX取引はレバレッジが最大25倍までとなっています。
海外ではレバレッジが800倍(!)などというとんでもないFX会社も存在しています。

レバレッジは変えられる⁉

但しFX取引では常に最大のレバレッジ(25倍)を掛けて取引をしなければいけない訳ではありません。
FX会社によっては取引の度にレバレッジを5倍、10倍などと指定できる会社もあります。
仮に指定する機能が無くても、自分の取引口座に必要最低証拠金額よりも多い金額のお金を入れておけば金額に沿ってレバレッジが下がるので同じ事になります。
あるいは口座に入れた金額(証拠金)の額の範囲で取引をすればレバレッジは常に1倍です。
レバレッジ1倍、つまりレバレッジを掛けない取引をしても全く問題ありません。
レバレッジを掛けないと通常の為替交換と同じ取引と言う事になりますが、こうした取引で利益を獲得する投資方法も実際にあります。

証拠金維持率とは

FXの取引でレバレッジを掛けた取引をする場合に気を付けなければいけないものが「証拠金維持率」 と呼ばれる数値です。
証拠金維持率は証拠金と時価の損益とを合せた金額が必要証拠金額に対してどの程度の割合かを示す値です。
証拠金維持率は以下の形で計算することができます。

(証拠金 +時価評価の損益) /必要証拠金額 (%)

ドル/円取引の事例

具体的な事例で考えてみます。
1ドル=140円の為替レートで10,000ドルを買う場合、取引金額は140万円です。
この時取引金額の4%分の証拠金(5万6,000円)を入れていると、 証拠金維持率は100%になります。

(5.6万円±0円)/(140万円✕4%)
=5.6万円/5.6万円
=100%

という計算です。

ケース1)利益が出た場合

先程の取引の後、為替レートが動いて1ドル=141円になったとすると1万円の利益が出ることになります。
この場合の証拠金維持率は

(5.6万円+ 1万円)/(141万円✕4%)
=6.6万円/5.64万円
=117.0%

となります。分母の必要保証金額も400円増えているのが分かりますかね。

ケース②)損失が出る場合

ではに1ドル=139円になった場合はどうなるでしょうか。取引では1万円の評価損が発生しています。
この場合の証拠金維持率は

(5.6万円ー1万円)/(139万円✕4%)
=4.6万円/5.56万円
=82.7%
となり100%を大幅に下回ります。

アラートと追証

証拠金維持率がFX会社が規定するラインを割り込んでくると、アラート(警告)追証強制決済という手段が順々に取られていく事になります。
証拠金維持率に気を付けなけれぱいけないのはこの為です。
GMOクリック証券の規定を基に流れを見てみます。
証拠金維持率が100%を下回った場合にはまずアラート(警告)が出されます。
通常はメールで「証拠金維持率が100%を割り込んでいるので注意して下さい」という連絡が届きます。
次にニューヨーク取引市場のクローズ時点 (日本では早朝になります)でも尚証拠金維持率が100%を下回っていた場合には追加証拠金(追証)が発生します。
追証が発生すると発生日の翌営業日(祝日を除く)の午前3:00までに追加の証拠金を入れて証拠金維持率を100%以上にする必要があります。
ほぼ即日動かないと間に合わない、結構ぎりぎりのタイミングになります。

ロスカット

追証の期限までに証拠金維持率の不足が解消されなかった場合には強制決済(ロスカット)が執行されて全ての取引(建玉)が反対売買で決済されます。
また価格が大きく動いて証拠金維持率が50%を割り込んだ場合には、その瞬間にアラートも追証も飛ばしていきなり強制執行(ロスカット)が執行されます。
FX会社が設定している強制執行基準の事をロスカット・ラインと呼んでいます。この場合は証拠金維持率50%がロスカット・ラインとなります。
更にロスカットで場合には執行手数料も取られます。
GMOクリック証券では、強制決済が執行された場合には1万通貨当り500円(ランドは10万通貨当たり)の手数料が発生します。

損失が確定してしまう

ロスカットは自分が想定している以上に損失が大きくなった時に起きるものです。
例えば株式の現物取引であれば、想定以上に株価が下がって損失が膨らんでも、我慢して持ち続けて株価が再浮上するのを待つ戦略も取る事ができます。
ところがFXでレバレッジを掛けて取引をしている場合には、ロスカットに引っ掛かってしまうと、問答無用で強制決済されて、不利な条件で損失が確定してしまうのです。

イベント発生時は注意

為替に大きな影響を与える事件やイベントが有ると、為替は一時的に極端な動きを見せる時があります。
殆どのFX会社では、一瞬でもロスカットラインを割り込むと強制決済というルールになっているので、レバレッジを掛けて取引をしているのであれば、この一時的な動きを充分に警戒して取引をする必要があります。

一発退場もあり得る?

更に怖がらせる様な話で申し訳ないですが、リスクを知っておく事は大事ですので話を続けます。
2016年のBREXIT(英国のEU離脱問題)を巡る国民投票では、大方の予想を裏切ってEUからの離脱賛成派が勝利しました。
この様なまさかの事態が起きると、為替の買手(売手)がどちらかー方に極端に偏り、価格が一気に動いてしまう事があります(スリップ)。
その時に価格がロスカットラインを大きく超えてしまう事態が稀にですが起こり得ます。
万一、強制執行の約定時点で発生した損失金額が証拠金額を上回ってしまった場合には、残りの金額も請求される事になります。
滅多に有る事では無いですが、 そう言う可能性が有ると言う事は知っておくべきだと思います。

リスクを回避する

こうしたリスクをどう回避していけば良いかと言う事になりますが、 難しい事ではありません。
もっとも簡単なのはレバレッジを下げる事です。
レバレッジが1倍であれば、そもそも追証もロスカットも発生しません
レバレッジ2倍でも殆ど問題にならないでしょう。
後は3倍4倍とレバレッジを上げて行くにつれてリスクも上がってくるので、折り合いの付く場所を見つけて取引をする事になります。

レバレッジと為替レートの関係を見る

再びGMOクリック証券のルールでの取引で考えてみます。
1ドル=140円で1万ドルを買う取引であれば建玉額は140万円になります。
なので5.6万円(4%)を証拠金として入れれば取引ができる事になります。最大レバレッジ25倍での取引となります。
この時為替が少しでも円高に動いて評価額が減れば、証拠金維持率が100%を割リ込み、アラート追証を求められる事になります。
次に証拠金を半額の70万円分入れて1万ドルを買った場合にはどうでしょうか。
この場合はレバレッジは2倍、 証拠金維持率は1250%となります。
この取引では1ドル=73円を下回らなければ、証拠金維持率が100%を切る事は有りません。
その可能性が無い訳ではありませんが、正直な所1ドル=73円と言う水準は 少なくとも短期的には考えにくいですよね。
こうして見て行くと、レバレッジを何倍にすると証拠金維持率100%のラインは価格が何円の時かと言う計算ができます。
この取引での、レバレッジと証拠金維持率100%となる為替レートとの関係は以下のようになります。

・レバレッジ2倍 73円
・レバレッジ3倍 98円
・レバレッジ4倍 110円
・レバレッジ5倍 117円
・レバレッジ10倍 132円

となります。それぞれこのラインを割り込むとアラート(警告)が出る訳ですが、実際にロスカットを されるラインはさらに下の価格になります。
このアラートが出る為替レートさえ分かれば、後はそれぞれの感覚でこの金額まで 考慮しておけば良いだろうというラインが想定できる筈です。

証拠金を増やさない方法もあります

今回は1万ドルの単位の取引を基準にして計算していますが、1,000ドル単位、100ドル単位で取引できるFX会社であれば証拠金の金額もこの1/10、1/100で良いと言う事になります。
そうしたFX会社であれば、証拠金額を増やさずに取引金額を下げる事でもレバレッジを下げた取引をする事ができます。

通貨ペアや期間による判断

追証ロスカットのラインが分かれば、自分が取れるリスクの設定も容易になってきます。
リスクの取り方は、通貨ペアによっても違います。
最近であればポンド/円の様に、値動きの大きい通貨ペアであれば、 高いレバレッジ での取引はリスクがとても高くなります。
また取引期間(決済迄の期間)によってもリスクは大きく変わってきます。
FXの取引では一日の内に何度も売買取引を行なうディ・トレーダーの方が非常に多いですが、その日の内に決済してしまうのであれば、高いレバレッジでの取引も十分に選択肢に入ってきます。

メリットとデメリット

レバレッジ取引のメリットとデメリットをまとめておきます。
レバレッジ取引のメリット

●自己資金より大きな金額の取引ができ、資金効率が良い
●リスクを自分でコントロールできる

レバレッジ取引のデメリット

●損失にもレバレッジが掛かる
●追証やロスカットのリスクがある

となります。
理解しておいて下さい。

まとめ

レバレッジを掛けた取引は、大きな利益を得る可能性が有る反面、損失リスクもある取引方法です。
但し、その仕組みを理解しておけば、自分でリスクをコントロールして効率良く利益を狙って行く事ができます。
もちろん取引は自分の判断、自己責任でお願いしますが、リスク管理さえしっかりできれば、売買差益を狙う取引でも、スワップポイントを狙う取引でも、利益を上げる確率を高める事ができます。
レバレッジ取引を上手に使って利益を上げて下さい。

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