NISAとは
(2019.06.01.改訂)
NISA(ニーサ)は2014年1月にスタートした、個人向けの小額投資非課税制度です。
株式投資等の利益に掛かる税金に認められていた軽減税率(10%)が2014年1月1日から無くなり、税率が実質的に10%アップする事が決まっていました。
NISAはそうした税負担アップに対しての一種の緩和策として導入された制度でもあります。
株式などの投資利益に掛かる税金が、一定の条件を満たすと非課税になると言う制度です。
英国の個人貯蓄口座制度ISA (Individual Savings Account)を参考に導入された事から、ISAの前にNipponのNを付けてNISA(ニーサ)の愛称が付けられています。
正式名称は「非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置」です。
さすがはお役所ですね笑。
NISAの制度
通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をして受け取った利益や配当に対しては20.315%の税金がかかります。
これに対しNISAでは現在毎年120万円迄の非課税枠が設定されています。
NISA専用口座での非課税枠内の投資については、投資から生まれた利益や配当が5年間非課税となります。
一般口座で株を120万円分購入して140万円で売れた場合、20万円の利益が出ますが、利益の20万円に20. 315%(40,630円)の税金が掛かります。
同じ取引をNISAの口座で行った場合には税金が掛からないのです。
メリットが大きい事がよく分かります。
非課税枠は当初は100万円でしたが、2016年から非課税枠が拡大されて120万円になっています。
つまり年間120万円までは利益が出ても税金が掛からない投資をする事ができるのです。
NISAでは、株式投資の場合は「値上がり益」と「配当金(証券会社を通じて受け取る場合)」が非課税になります。
投資信託の場合は「値上がり益」と「普通分配金」が非課税になります。
現在の所、NISAは2023年迄の制度となっています。
損失が出るとメリットは無い?
NISAは利益が非課税にいなる制度なので、NISAの口座で損失が出ている場合には何もメリットが有りません。
損益通算と言う制度が利用できない為、不利になるケースもあります。
通常の株式投資などで使っている一般口座や特定口座では、複数の口座の利益と損失を通算する事ができます。
これが損益通算です。
利益が出ている口座と損失の出ている口座を相殺できるので、税制上は有利になるケースがあります。
但しNISA口座は損益通算ができないので、他の口座の利益と相殺する事ができません。
この点はNISAのデメリットと言えます。
口座開設の条件
NISAで投資を行なう為には、NISA口座を開設する必要があります。
NISA口座は日本に居住していて、1月1日時点で満20歳以上の人が開設する事ができます。
20歳未満の人については 別に制度が設定されているジュニアNISA口座を利用する事ができます。
NISAの口座は1人に付き1つの口座しか開設できません。
銀行口座や証券口座の様に、複数の銀行や証券会社にNISAの口座を開設する事はできません。
金融機関は1年単位で変更できますが、開設済みのNISA口座で既に株式や投資信託等を購入している場合、その年には他の金融機関に変更する事ができません。
つみたてNISA
2018年1月には、NISAとは別に、主にに小額からの長期積立・分散投資を支援する非課税制度「つみたてNISA」もスタートしました。
つみたてNISAでは購入できる金額は年間40万円までです。
購入方法や商品も毎月積み立て型の購入などは、累積投資契約に基づく買付方法に限られています。
購入可能な商品も長期積立·分散投資に適した投資信託商品に限定されています。
制約が多いですが、その替わりに非課税期間が20年と長期に設定されている制度です。
NISAとつみたてNISAはどちらも魅力のある制度ですが、同じ年に両制度を併用する事はできません。
ただ毎年どちらを利用するかを選択する事はできます。
ジュニアNISA
未成年者(0~ 19歳)の人にはジュニアNISAと言う制度があります。
ジュニアNISAは、 2016年度から始まった未成年者を対象とした少額投資非課税制度です。
子供や孫の資産形成を目的とした優遇制度として設定されたものです。
そうした経緯もあって、口座は原則親や祖父母、未成年後見人が代理で運用を行います。
ジュニアNISAの非課税投資枠は毎年80万円に設定されます。
口座選びは大事
NISA口座は銀行、証券会社の他、郵便局(正確にはゆうちょ銀行)、保険会社でも口座を作る事ができます。
殆どの会社はネットで口座の開設手続きができます。
但し1人で1つのNISA口座しか作る事ができません。
次の年になれば会社を変える事もできますが、良い会社に口座を作ってそれを使い続けた方が、手続きも少ないし、資金の移動も必要無いのでやりやすいですよね。
なのでNISAの口座を開設する際には、どの金融機関で口座を作るかを慎重に検討するべきです。
NISA口座はほとんどの金融機関が口座開設費と維持管理費は無料です。
となると基本的には「取引時の手数料」と「取扱い商品のバリエーション」を中心に検討する事になります。
おすすめの金融機関
正直な所NISAに関しては、取引手数料の点で見ても商品バリエーションの点で見ても、ネット系証券会社の優位は動か難いものがあります。
ネット証券は取引手数料が圧倒的に安い上、金融商品の品揃えも非常に充実している会社が多いです。
一方で銀行や郵便局(ゆうちょ銀行)などは、NISA口座での運用先を吟味してある程度絞り込んで提示する傾向があります。
たくさん種類があっても迷うだけと言う方はむしろこちらの方が投資先を選びやすいかも知れません。
ただNISA口座での投資先(購入する金融商品)を自分でしっかり選ぼうとしているのであれば、やはりネット証券を中心に検討するべきです。
具体的には
● SBI証券
●楽天証券
●マネックス証券
● 松井証券
●カブドットコム証券
などがおすすめできるネット証券会社として挙げられます。
これらの証券会社はいずれもNISA口座でも株式の購入、売却手数料が無料である上、投資信託の取り扱いも700~3,000本と豊富です。
投信では販売手数料が無料の投信商品(ノーロード)が充実している事も大きな判断材料になりますが、この点でも多くのノーロード商品を揃えています。
あるいは1万円から株式を1,000円単位で定額購入できる独自のサービス(キンカブ)を展開するSMBC日興証券なども魅力的な存在です
SBI証券(☆☆☆☆☆)
●国内株式売買手数料無料
●海外ETF買付手数料無料
●投資信託2582本(ノーロード1279本)
●外国株9か国
SBI証券は最も多くのNISA口座開設数を誇っているネット証券会社です。
NISAにおける国内株式の売買手数料や海外ETFの買付手数料は恒久無料となっています。
外国株式についてもネット証券最多の9カ国の株式を購入する事ができます。
米国、中国、香港、ロシア、韓国、ベトナム、インドネシア、タイ、マレーシアの株式を取引する事ができます。
投資信託の扱いも2582本の品揃えを誇っています。
楽天証券(☆☆☆☆☆)
●海外ETF買付手数料無料
●外国株4か国
●国内株式売買手数料無料
●投資信託2570本(ノーロード1000本以上)
楽天証券も国内株式の売買手数料や海外ETFの買付手数料は無料です。
投資信託でも2570本の品揃えを誇り、その内手数料不要のノーロード投信も1000本以上に及びます
楽天ポイントが貯まるポイントプログラムも有り、楽天ユーザーにとってもメリットの大きな証券会社です
マネックス証券(☆☆☆☆)
●国内株式売買手数料無料
●海外ETF買付手数料無料
●投資信託1178本(ノーロード755本以上)
●外国株米国、中国株
マネックス証券は国内株式はもちろん、米国や中国など外国株式の取扱いが豊富な証券会社です。
国内株式の売買手数料は無料です。
IP0 (新規株式公開)銘柄の取扱いがSBI証券につ次いで多く、IP0の抽選権が1口座に1つ付与される抽選方式である点もポイントです。
松井証券(☆☆☆)
●国内株式売買手数料無料
●海外ETF買付手数料無料
●投資信託755本(ノーロード643本以上)
●外国株なし
ネット証券の先駆け的存在として根強い人気を誇る松井証券も
国内株式の売買手数料は無料です。
商品バリエーションと言う点ではやや弱いですが、使いやすい形で商品を絞り込んでいて検討しやすく、取引もしやすいのが魅力です。
まとめ
NISAは、専用口座で利益を獲得した時にはとても有利な制度です。
基本的に皆さん資産を増やそうと思って投資や運用をするのですから、上手く行った時に税金まで無くなると言うのは二重に美味しいですよね。
ただ損失を出した時には何のメリットも無い制度なので、やはりまずは資産を増やす運用をする事が何より大事である事は変わりありません。
同じ様に個人向けの資産運用優遇制度であるiDeCoなどは毎年口座管理手数料が発生しますが、NISAの口座は殆どが無料なので、その意味で作っておいても損は無いと思います。
税金は脱税でもしない限りはどうしても支払わなければいけない費用なので、非課税と言う貴重な制度を味方に付けて利益を増やすべきです
。
NISAを上手に運用して、資産を上手に増やして下さい。
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