株主優待は毎年お得が続く魅力的な制度です。

株式投資
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株主優待とは

(2020.03.09.改訂)
株主優待制度は株式会社独特の還元制度で、個人投資家にとっては非常に魅力的な制度です。
通常、株式会社は事業で出た利益を配当金と言う形で株主に還元しますが、自社株を保有してくれている事へのお礼として、配当金とは別に自社の製品やサービスや金券などを株主に贈呈すると言う仕組みが定着しています。
これが株主優待制度です。
但し株主優待制度と言う法的な制度が有る訳では無く、株式を発行している各企業が自主的に運用を定めている制度です。
株主優待によって企業は個人株主の拡大や長期保有、イメージアップなどを図り、安定株主が増える事を期待します。
個人投資家の側は、配当金以外にも利益を得ると言うメリットがあります。

日本独特の制度

株主優待制度は日本独特の制度で、実は欧米の株式市場では殆んど見られません。
欧米の投資家で有れば、優待として還元する利益が有るならもっと配当金を増やせと考える傾向があると言われています。
日本の市場でも、機関投資家などを中心に時々株主優待の是非の議論が起こるのですが、今の所日本では株主優待は概ね好意的に捉えられている様です。
実際東京証券取引所の4市場(東証1部、東証2部、マザーズ、JASDAQ)で見ると、上場企業の7割もの会社が株主優待を実施しています。
すでに株式市場に於いて、株主優待は無視できない存在になっています。
個人投資家の株主優待への関心は強く、多くの雑誌で度々株主優待の特集記事が組まれたり、複数の出版社から定期的に株主優待の本が出版されるほどになっています。
企業側にとっての宣伝効果も大きく、各社が株主優待の内容を競っているのが現在の状況と言えます。

優待の内容

現在、株主優待の内容は実に多種多様になっています。
もっとも多いのが自社や自社グループで扱う商品やサービスです。
例えば

●航空会社の優待搭乗券
●百貨店の自社商品券や割引券
●飲食店の利用券や割引券
●ビールメーカーの自社製品
●食品メーカーの製品詰合せ

などが挙げられます。
自社の製品やサービスのアピールにもなりますし、優待を通じて会社や製品のファンになって貰う事も期待できます。
例えば「磯丸水産」「鳥良商店」など多くの飲食店ブランドを事業展開するSFPホールディングスでは自社の店舗で使えるお食事券を贈呈しています。
100株以上を保有する株主に対して4,000円分のお食事券が年2回贈呈されます。
同社の展開する店舗を利用する人にとっては、年間8,000円分の利益と考える事もできます。

多様な優待品

次に多いのが汎用性が高く誰にでも喜ばれるものです。
例えば

●米
●肉類
●金券
●QUOカード

などの優待品です。
素材メーカーや不動産会社など、自社の製品やサービスがエンドユーザーと接点を持ちにくい会社はこうした優待品を設定する傾向が強いです。
優待としては、この他にもホテルの宿泊券やプロ野球・Jリーグの試合への招待、映画や演劇のチケット、テレビの公開収録など様々な優待品が展開されています。
どんな株主優待があるかを見てみるだけでも面白いですよ。

株を持ち続けなくてもいい

株主優待は年に1回か2回、各社が定める権利発生日に所定の株数を保有している株主に対して実施されます。
先程のSFPホールディングの例で言うと、2月と8月の末日に同社の株を100株以上保有している人が株主優待の対象になります。
1年間ずっとその株を保有し続ける必要は無く、2月分の優待であれば株を2月の末日に1日だけ保有していれば優待が受けられます。
但し株式市場の売買取引では、売買の成立(約定)した日から2営業日後に株の受け渡しが実行されます。
以前は3営業日後でしたが現在は2営業日後に受け渡します。
その為、実際には2月の最終営業日より2営業日前に購入する必要が有ります。
株主優待や配当の権利が発生する最終日の事を「権利日」と呼んでいます。

狙い目は3か月前

株を権利日に1日だけ保有すれば良いので有れば、対象の株を権利日に買って次の日に売れば良いと言う話にもなりますが、現実はやはり甘くありません。
一般的に株主優待が人気の株は、権利日に向けて株価が上がり権利日の翌日(権利落ち日)には株価が下落する傾向があります。
株価が高い時に株を買って、売る時には株主優待の利益よりも下落幅が大きかったら意味がありませんよね。
この様に株主優待が人気の銘柄の場合、権利日前後の株価には一定の傾向が見られます。
その時々の市場の動向にも影響を受けるのでそれ程単純では無いのですが、通常は権利日の3ヶ月位前に仕込む(株を購入する)のが良いと言われています。
実際、これが株主優待株の購入の一つの目安にはなると思います。
もっとも本来は、短期間で株主優待を貰おうと考えるよりは、良いと思った銘柄を中・長期で保有してその中で優待も貰って行くという方が自然な形だとは思います。

信用取引を使った裏技

そうは言っても、やはり短期間で株主優待を取りたいと言うニーズもあるでしょう。
実は信用取引を利用して、安いコストで株主優待を手に入れてしまう裏技的なテクニックもあります。
これが「クロス取引」と呼ばれる方法です。
株主優待を獲得したい株の権利日が近づいたら、通常の取引(現物取引)で対象の株を買い、信用取引で同じ銘柄の株を売ります。
買いと売りの双方のポジションを持って、権利日を超えたらそれを決済します。
売買の手数料は掛は掛かりますが、株価の下落リスクは相殺されて無くなります。
一般の信用取引の場合は、稀に逆日歩と言う想定外の費用が発生するリスクがありますが、これも松井証券の「無期限信用取引」などの仕組みを使えば逆日歩は発生しません。
こうなると手数料費用を計算してしまえば、後は全くのノーリスクで優待を獲得する事も可能になります。
このテクニックについては少し専門的になるので別に解説したいと思います。

優待利率

株式投資には配当金が株価の何%に当るかを示す「配当利率」と言う指標があります。
配当利率は

株価÷配当額

で簡単に計算できます。
配当利率は定期預金で言うと利率に相当するものですが、株主優待でも優待内容が自分に取って利用できるもので有れば、優待で得るメリット額と株価の比率で「優待利率」とでも言うべき指標を出す事が出来ます。
優待利率は

株価÷株主優待金額

で計算できます。
優待利率が計算できるとなれば、個人投資家が株式の保有によって得る実質的な利益率は

配当利率+優待利率

で考えた方が妥当かも知れません。

まとめ

東証上場企業の配当利率は3%未満の所が多く、良くても5%程度と言う水準ですが、優待利率は5%以上のものも数多く有り、中には10%以上の銘柄もあります。
優待利率の場合は、優待内容が自分にとって価値が有るものかどうかを査定する必要がありますが、それをクリアできれば簡単に年利10%以上を狙う投資だってできてしまう事になります。
株価の変動は当然リスクとして有りますが、配当と優待が安定していれば10%の利率ならば10年で元が取れてしまいます。
株主優待の魅力を、今一度考えてみてはいかがでしょうか。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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