iDeCoとは
(2019.05.30.改訂)
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、自分で拠出した掛金を自分で運用し、原則60歳以降に受け取る事ができる年金制度です。
それだけでは何もメリットが有りませんが、掛金の全額が所得控除の対象となる他、利息や運用益も非課税扱いとなる為、税金の面で大きなメリットのある制度となっています。
iDeCoは何よりも税金がお得な年金制度と覚えて下さい。
因みにiDeCoは(individual-type Defined Contribution pension plan)の略です。
よく分からないですね笑。
iDeCoの対象になる人
iDeCoの口座を作れるのは以下のいずれかの方になります。
●会社務め以外の方
●勤め先に確定拠出型企業年金の制度が無い方
●確定拠出型企業年金の制度が有っても会社がiDeCoへの加入を認めている場合
この3番目ですが、務めている会社が、既に確定拠出型企業年金(いわゆる401K型)年金を導入している場合は原則として加入できません。
但し会社がiDeCoへの加入を認めている場合は加入可能になります。
現状ではかなりの大企業でも会社側のiDeCoの制度自体への認識が少なく、議論すらないまま取りあえず認めていない、と言う会社も少なくない様です。
掛け金
iDeCoの掛け金は毎月5,000円以上で、1,000円単位で決められます。
掛け金を定額で納付する方法と納付月と金額を指定して納付する方法があります。
iDeCoの掛金は年単位でも支払いができます。
1年分纏めて支払う事もできますし、ボーナス時に増額する事も、ボーナス一括で支払う事も可能です。
iDeCo口座を開設した金融機関のiDeCo対応金融商品の中から 、運用商品を選んで掛け金を運用します。
運用の成果によって将来受け取れる年金額が変わります。
掛金の上限
iDeCoの拠出金額には上限があります。
拠出の上限額は国民保険の加入状況と企業年金制度の状況で決まります。
自営業の方などが該当する第1号被保険者の場合は、月額6.8万円(年間81.6万円)まで拠出する事ができます。
会社勤めの人の多くが該当する第2号被保険者の場合は、実質的には会社の年金制度によって決まってきますが、月額1.2万円~2.3万円の拠出上限となっています。
更に専業主婦の方などが該当する第3号被保険者の場合は、月額2·3万円(年額27.6万円)が拠出の上限となっています。
具体的にはこの様になっています。
●第1号被保険者(自営業者など)
月額6.8万円まで(年81.6万円まで)
●第2号被保険者
○確定拠出年金(企業型DC)のない会社の会社員
○確定拠出年金(企業型DC)に加入している会社員
○確定給付企業年金(DB)加入者、公務員
月額2·3万円まで(年27, 6万円まで)
月額2.0万円まで(年24万円まで)
月額1.2万円まで(年14.4万円まで)
●第3号被保険者(主婦など)
月額2·3万円まで(年27.6万円まで)
60歳から貰えます
iDeCoの年金受け取りは60歳からになります。
但し60歳からiDeCoの年金資産を受け取る為には、通算加入者期間が10年以上必要です。
加入している期間が10年に満たない場合は、受給可能な年齢が加入者期間によって繰り下げられます。
加入年数と受け取れる年齢の関係は以下の通りです。
●10年以上満60歳
●8年以上10年未満満61歳
●6年以上8年未満満62歳
●4年以上6年未満満63歳
●2年以上4年未満満64歳
●1カ月以上2年未満満65歳
年金の受取方法
年金の受取方法は以下の中から選べます
す。
一括で受け取る
iDeCoの年金を受け取れる年齢に到達した時から70歳になるまでの間に、一時金として一括で年金資産を受け取る事が出来ます。
一時金として受け取る場合は「退職所得控除」が適用されます。
年金として受け取る
iDeCoの受け取りを年金の形で受け取る事もできます。
この場合は保険商品等を選択して運用しながら、5年以上20年以下の有期年金として受け取ります。
年金として受け取る場合は「公的年金等控除」が適用されます。
一時金と年金を組み合わせる
年金資産の一部を一時金で受け取り、残りの資産は年金で受け取ると言う方法も選択できます。
掛金が全額控除される!
iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象となります。
利益だけでは無く、元の掛け金も非課税になるのでメリットは大きくなります。
所得税と住民税が軽減する事になります。
会社務めで年収が500万円程度の人だと、所得税の税率は10%~20%と言う方が多い筈です。
所得税率10%の人だと、掛金に対して
●所得税10%
●復興特别税0.315%
●住民税10%
合計20.315%掛かる税金が無くなるのです。
所得税率20%の人だと合計30.315%の税金が無くなります。
利益も非課税です
iDeCoでは、掛金の運用で出た利益も非課税になります。
通常金融商品の運用益や配当には20.315%の税金がかかりますが、iDeCoでは給付の時までの運用益は非課税扱いで再投資されます。
年金受取時には税金が掛かります
所定の年齢に達してiDeCoの年金資産を受け取る時には税金が掛かります。
但しここでも税制面での優遇が有ります。
iDeCoの年金資産を一括で受け取る場合は退職所得控除、年金として受け取る場合には公的年金等控除が適用されます。
どちらも相当に控除額の多い有利な控除制度の適用です。
掛金、運用益、受取、それぞれの場面で税制が優遇されるiDeCoは老後の資産形成の為にはとても良い制度と言えます。
確定給付企業年金加入者と公務員の方
iDeCoの対象者の中で、拠出金の上限額がもっとも少ないのは確定給付企業年金(DB)の加入者と公務員の方です。
拠出額の上限は月額1,2万円(年14.4万円)までとなっています。
このカテゴリーの方でも掛け金を目いっぱい掛けると、
税率20.315%の方は29,254円
税率30. 315%の方は43,654円
の税金が無くなります。
iDeCoの口座では金融機関の手数料が無料の場合でも、毎月の拠出時に167円(年間2, 004円)の費用が掛かります。
その費用を差し引いても実質の収支は大きなプラスになります。
つまり上手に口座を選んで拠出をすれば、iDeCoの口座にお金を置いておくだけでも大幅にお得と言う事なのです。
確定拠出年金(企業型DC)加入者の方
確定拠出年金(企業型DC)に加入していて会社がiDeCo加入を認めた会社員の場合は、拠出額が月額2.0万円(年24万円)までなので、税率20. 315%だと48,756円の税金が無くなります。
確定拠出年金がない会社員と専業主婦(主夫)の方
確定拠出年金(企業型DC)のない会社の会社員の方や専業主婦(主夫)の場合は更にメリットが拡大します。
拠出額が月額2. 3万円(年276万円)までなので税率20. 315%だと56, 069円の税金が無くなります。
自営業の方(年81.6万円)までなら税率20, 315%で165,770円まで税金を減らせます。
口座の管理費用を引いたものが実際のお得額になりますが、いずれにしても相当に大きなメリットを得られる事がお分かり頂けると思います。
口座のお金が増える訳ではない
但し、何万円得していると言われても、このメリットは一見とても分かりにくいものでもあります。
運用の利益を考えなければ、実際のiDeCo口座の金額は管理費用が引かれている分、拠出した金額より少なくなっているからです。
実際にはiDeCoの口座で差し引かれた費用とリ遥かに大きな金額の税金が支払わなくて良くなります。
計算して見ると、圧倒的に得である事が分かります。
個人にとっては税金が減る事は利益が増える事とほとんど同じです。
iDeCoのデメリット
反対に、iDeCoのデメリ外としてはどの様なものがあるでしょうか。
わかりやすいのは、何と言つても60歳まで掛金を掛け続けなければいけないと言う点です。
60歳までは資産を引き出せないと言うのも大きなデメリットです。
若い世代の人ほど、老後に備えて掛金を積立する事は考えにくいし、負担にも感じると思います。
iDeCoが年金制度である以上は仕方ない部分ではあると思います。
尚、正当な理由があれば途中で拠出を止めたり減額する事も可能です。
隠れたメリット
iDeCoに加入している人が70歳に到達する前に怪我や病気で一定以上の障害状態になった場合、その傷病が1年6カ月経過しても尚続いた状態であれば障害給付金を受給できます。
またiDeCo加入者が死亡した場合には,遺族が死亡一時金の受給を受ける事ができます。
取扱い機関
iDeCoはNISAと同様に様々な金融機関で取り扱っています。
但しNISAの口座がどこも無料であるのに対して、iDeCoでは口座開設時に手数料が発生します。
口座管理手数料も無料の所から月額400円掛かる所まで、金融機関によって結構な差があります。
もちろん手数料は安いにこした事はありません。
手数料水準を最初にチェックして、その上で運用商品の品揃えが多い会社、投資、運用したい金融商品が有る会社を選べば、満足度の高い運用体制が手に入ると思います。
iDeCo口座に掛かる費用
NISAとは違い、iDeCoでは口座を開設した時と、口座を維持している間に必ず費用が発生します。
iDeCoの運用は
●国民年金基金連合会
●信託銀行
●証券会社
が連携して受付、登録から運用までを行なっている制度です。
制度として、すべての金融機関で共通の費用があって、これはどの金融機関で口座を作っても同じ金額の費用が掛かります。
この上に各金融会社の定める手数料が乗ってくると言う仕組みになっています。
ここでは簡単に説明しますが、全金融機関共通の費用としては、
iDeCoへの新規加入時に2,777円(税込)
毎月の掛金拠出時に1 67円/月(年2,004円)
将来の年金給付時にも432円/1回
以上が共通で発生します。
企業型確定拠出年金からiDeCoに移管した場合にも、新規加入時と同じ費用(2,777円)が発生します。
金融機関毎に違う費用
これに金融機関が設定する口座管理手数料が、毎月継続して発生してきます。
ここが口座選択の重要なポイントです。
主な金融機関でみても、金額は無料の所から月額400円の所までかなり幅があります。
月400円と言っても年間では4800円になります。
全金融機関共通の部分と併せて6, 804円と言うのは小さい金額とは言えません。
自社設定分の手数料が完全無料と言う会社はいくつかあります。
●楽天証券
●SBI証券
●マネックス証券
●大和証券
以上4社は口座管理料無料で、iDeCo向けの金融商品も豊富です。
はっきり言うと、基本的にこの4社の中から選んでiDeCo口座を作った方が良いと思います。
但し、みずほ銀行、りそな銀行、野村證券、第一生命など、一定の条件をクリアすれば以降の手数料が無料と言う金融機関も有ります。
関係の深い金融機関がある方は、一度関係先の手数料を確認してみると良いと思います。
おすすめの金融機関
iDeCoをこれから始めようと思っている人にとっては、最終的にどこの金融機関が良いのか、と言う事が率直な関心事だと思います。
皆さん一人一人状況は違いますので、自分にあった金融機関を見付けて貰えれば良いのですが、一つの判断材料としてお薦めを挙げておきます。
iDeCo口座ではまず自社手数料が無料な事が重要と考えています。
条件付で無料と言う銀行や証券会社も検討対象には入れて良いでしょう。
その上で、iDeCo口座で運用できる金融商品が豊富な事が大事です。
扱っている投資信託の本数などを比べて判断します。
更に金融商品の購入 運用コストが安い商品が多いかどうかを見ていきます。
投資信託であれば信託報酬が安い商品がしっかりあるかです。
こうした観点で絞った上でのお薦めの金融機関は
●SBI証券
●マネックス証券
になります。
楽天証券も加えても良いかも知れません。
どちらも口座の維持管理費用が安く、取扱い商品も豊富です。
多くの人に納得して頂けると思います。
まとめ
iDeCoは長期で資産形成をしようと考えている人にとっては非常にメリットの多い制度です。
年間のメリット金額も大きい上に、それが長期に渡ります。
今回は余り触れませんでしたが、実際の運用での利益や配当に税金が掛からないと言うのもこの上無く有利な制度なんです。
iDeCo加入の条件に合っていて、投資を考えているのであれば、iDeCo口座の開設も検討してみるべきです。
統計的には60歳以降も長い人生が続く社会ですので、今から準備をしても早すぎると言う事は無いと思います。
まずは加入条件を確認して、iDeCoを考えてみて下さい。
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