iDeCoは費用が掛かります
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、自分で拠出した掛金を自分で運用し、原則60歳 以降に受け取る事ができる年金制度です。
設定枠内であれば、掛金の全額が非課税となる上に、運用の利益や配当まで非課税となる税制面で大きなメリットのある制度になっています。
iDeCo を始める為には、 iDeCo 専用の口座を作り、掛金を拠出する必要があります。
但しiDeCoの場合は口座を開設、維持する為には費用が掛かります。
また運用したお金を将来年金資産として受け取る時にも費用が発生します。
メリットばかりが宣伝されがちですが、費用などの側面もしっかり分かった上で良い制度なのかを判断する必要があります。
費用が掛かるタイミン
iDeCo口座では運用内容と関係無く
●加入時
●運用時
●給付時
●還付時
の各時点で費用が発生します。
この内「還付時」と言うのは、iDeCoの上限を超えて拠出した時や加入資格のない時に拠出した金額を返して貰う時に発生する手数料の事です。
通常は発生しない、特殊な費用になります。
二種類の費用がある
また手数料には全ての金融機関で共通の費用と、各金融機関で設定する費用とに分けられます。
「手数料無料」を謳っている金融機関もありますが、共通の費用があるので、全くの負担0円と言う訳にはいきません。
ただ個別設定費用の方は金融機関によって相当に大きな金額差があります。
この費用の大小は口座開設時の金融機関選択の重要な指標になります。
全金融機関共通の費用
iDeCoは
●国民年金基金連合会
●信託銀行
●証券会社が連携して受付、登録から運用までを行なっている制度です。
その為、自分の所の手数料を無料にするとしても、制度上、他の機関へ支払う手数料が発生する事になります。
すべての金融機関共通で発生する費用は以下の通りです。
※加入時
iDeCoへの新規加入時一度だけ発生する初期費用です。
企業型確定拠出年金からiDeCo口座に移管した場合にもこの費用が掛かります。
●国民年金基金連合会手数料: 2,572円(税込2777円)
※運用時
毎月の掛金を拠出する時に発生する費用です。
●国民年金基金連合会手数料:月額104円(掛金拠出時のみ発生)
●事務委託先金融機関手数料:月額65円(掛金を拠出しなくても発生)
●合計月額156円+税(税込167円)
掛かります。
年額では税込2,004円の費用になります。
※給付時
60歳以降になってiDeCoを年金として受け取る時に発生する費用です。
●事務委託先金融機関手数料:400円+税/ 1回
※還付時
iDeCoの上限を超えて拠出した時や加入資格のない時に拠出した拠出金を返して貰う場合に発生する手数料です。
●国民年金基金連合会手数料: 1029円 / 1回(税込)
●事務委託先金融機関手数料:432円/ 1回(税込)
要約すると
加入時には2,777円
運用時には月額167円(年額2,004円)
の費用が全金融機関共通で発生すると言う事になります。
費用を減らす小技
iDeCoの掛金は年単位でも支払いができます。
1年分纏めて支払う事もできますし、ボーナス時に増額する事も、ボーナス一括で支払う事も可能です。
運用時の費用の内、国民年金基金連合会の手数料(月額104円)は原則として掛金を拠出した時に掛かります。
なので一年分の掛金を一括払いにするとこの分の手数料11ヶ月分を無くす事ができます。
年1,236円を104円に圧縮する事ができます。
次に各金融機関が設定する個別設定費用の部分です。
基本的には運用時の口座管理手数料が各機関によって設定され、共通価格に上乗せされています。
主な金融機関の口座管理手数料(上乗金額)は以下の通りです。
●楽天証券 無料
●SBI証券 無料
●マネックス証券 無料
●大和証券 無料
●野村證券月額283円
(月掛金1万円以上またはiDeCo資産残高100万円以上で無料)
●SMBC 日興証券月額256円
●みずほ銀行月額256円(条件付で無料)
●三菱UFJ銀行月額256円
●三井住友銀行月額256円
●リそな銀行月額316円(条件付で無料)
●福岡銀行月額432円
●ゆうちょ銀行月額256円
口座管理手数料を比較するとし証券会社や銀行によって大きな差があることが 分かります。
月額432円の差と言っても年間では5184円になります。
それが10年、20年と続くとなると手数料の差はやはり無視できません。
消費税が上がれば更に負担は大きくなります。
またiDeCo運用資産が50万円を超えると以降は無料とか、100万円を超えると無料と言った一定の条件付で無料になる金融機関もあります。
条件によっては検討の対象になると思います。
それでも手数料は運用成績に関係無く、自分で下げる事ができるコストなので、ここはやはり口座管理手数料が無料の金融機関を中心に選ぶ事をおすすめします。
おすすめの金融機関
そうした費用面を踏まえ、更にiDeCoで運用できる金融商品の品揃えなどを考えれば自ずと優利な金融機関が絞られてくるはずです。
具体的な金融機関は他の頁でも挙げていますが
●SBI証券
●マネックス証券
になります。
これに楽天証券も加えても良いかも知れません。
どちらも口座の維持管理費用が安く、取扱い商品も豊富です。
多くの人に納得して頂けると思います。
iDeCoの資産は保全される
iDeCoは様々な金融機関が取り扱っていますが、特に強いのはネット系の証券会社です。
立派な企業規模の会社も多いですが、野村証券などの大手証券会社やメガバンク、ゆうちょ銀行と比べるとさすがに見劣りするかも知れません。
企業の安定性と言う面で、ネット証券会社に不安を感じる方もいるかもしれません。
但しiDeCoの資産は全額が分別管理されていて、万が一金融機関が破綻しても 積立した年金資産に影響が及ぶ心配はない制度設計になっています。
従って口座を持っている金融機関に万一の事があっても、金融機関を変えるだけで済みます。
その点は安心ですね。
まとめ
この様にiDeCoでは口座開設時、運用時、年金給付時と各場面でそれなりの 費用が発生します。
無視できるほど小さい金額では無いので、抑えられる部分はしっかり抑える事が重要になります。
一方でiDeCoは費用を大幅に上回る税制上のメリットを受け取れる制度である事を理解しておく事も大事です。
iDeCoに加入できるのに、「そんなに費用が掛かるならやめとこう」と判断し、結果的に大きな利益を見逃すのは勿体無い事です。
費用とメリット両方を見比べてから、御自分で判断して欲しいです。
毎月積み立てる余裕が無いとか、状況は人それぞれありますので、簡単にやりましょうとは言えませんが、将来への備えを考えた時には有力な選択肢となります。
是非、一度iDeCoの仕組みを確認してみて下さい。
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